・2023年12月からアルコールチェックが義務化されたけど、どうすればいいのかな
・アルコールチェックの基準値は?、どんな罰則がある?
・アルコールチェックの結果の記録はどのように管理すればいい?
神戸市で10年以上、教習指導員をしています。
仕事柄、職員の飲酒運転の有無や、アルコールチェックに対する姿勢は厳しい職場ですが、最近特に厳しく言われるようになったなと感じています。
今回の法改正によって何が変わったか、何に気を付けなければならないのかをお伝えします。
アルコールチェックの義務化とその内容
2023年12月から、すべての運転者に対して運転前のアルコールチェックが義務化されました。この法改正は、飲酒運転による事故を防ぐために導入されたもので、運転者は出発前に自己検査を行い、アルコールが検出されないことを確認する必要があります。企業や団体では、アルコールチェッカーの提供や内部規則の策定を通じて、従業員の安全を確保する責任があります。
アルコールチェックの基準値と罰則
アルコールチェックの基準値は、呼気中のアルコール濃度で測定され、通常は0.15mg/L以下とされています。基準値を超えた場合の罰則は厳しく、運転免許の停止や取消し、罰金、場合によっては懲役刑に処されることもあります。運転者は、アルコールチェックで基準値を超えた場合には、運転を控え、代わりの交通手段を利用することが重要です。
アルコールチェックを怠った場合や飲酒運転に関する罰則の内容は以下の通りです:
アルコールチェックを怠った場合:
現時点では直接的な罰則は設けられていませんが、安全運転管理者の義務違反と見なされ、是正措置命令が出される可能性があります。是正措置命令に対して適切な対応を取らなかった場合、50万円以下の罰金が科されることがあります。
飲酒運転をした場合:
〇酒酔い運転:
・酒によって正常な運転ができない状態で運転した場合、5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
・行政処分としては、違反点数35点が加算され、1回の酒酔い運転で免許取り消しとなり、免許取り消し後3年間は免許の取得が許されません。
〇酒気帯び運転:
・呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15mg以上の状態で運転することを指し、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
・行政処分では、アルコール濃度0.15〜0.25mg/1Lの場合、違反点数13点が加算され、90日間の免許停止処分となります。
これらの罰則は、運転者だけでなく、企業の代表者や管理者にも適用される可能性があります。企業は運行供用者責任と使用者責任に問われることもあり、交通事故により第三者に損害を与えた場合、従業員と連帯して損害賠償責任を負うことになります
アルコールチェックの記録と管理
アルコールチェックの結果は、記録として残すことが義務付けられています。これにより、万が一の事故や問題が発生した際に、証拠として提出することができます。記録の管理方法には、紙ベースの記録とデジタル記録の2種類があり、デジタル記録は検索や保管が容易であるため、効率的な管理方法と言えます。
企業の義務
〇安全運転管理者の選任:
企業は、乗車定員が11人以上の自動車を1台以上、またはその他の自動車を5台以上保有している場合、安全運転管理者を選任する必要があります。
〇アルコールチェックの実施:
安全運転管理者は、運転者の運転前後に酒気帯びの有無を確認し、その内容を記録して1年間保存することが義務付けられています。
〇記録簿の保存:
アルコールチェックの結果は記録簿に記載し、1年間保存する必要があります。記録簿には確認者名、運転者名、運転者の業務に係る自動車登録番号、確認の日時、確認の方法、酒気帯びの有無、指示事項などが含まれます。
従業員の義務
〇アルコールチェックの実施:
運転者は業務開始前後にアルコールチェックを行い、その結果を記録簿に記入する義務があります。
〇記録簿への記入:
運転者は、アルコールチェックの結果を記録簿に記入し、安全運転管理者に提出する必要があります。
罰則
〇安全運転管理者の義務違反:
安全運転管理者が適切にアルコールチェックなどの職務を遂行できていない場合、解任命令を受けることがあります。解任命令に従わなかった場合、企業には50万円以下の罰金が科される可能性があります。
〇飲酒運転の罰則:
運転者が飲酒運転をした場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。また、企業側が飲酒運転を容認していた場合、責任者にも罰則が適用されることがあります。
これらの義務と罰則は、アルコールチェックを適切に実施し、飲酒運転を防ぐために設けられています。企業は適切な記録と管理を行い、個人は自己のアルコールチェックを確実に実施することが求められています。安全運転管理者としては、これらの義務を遵守し、従業員が安全に運転できる環境を整えることが重要です。
アルコールチェッカーの種類と使用方法
アルコールチェッカーには携帯型、据え置き型、吹きかけ式、ストロー式、マウスピース式など様々な種類があります。それぞれの使用方法や特徴を理解し、自身の状況に合ったアルコールチェッカーを選ぶことが重要です。
主なタイプは以下の通りです:
〇携帯型(ハンディー型):
持ち運びが容易で、遠距離移動をする人に適しています。小型で価格が比較的安いものが多く、中には据え置き型と兼用の商品もあります。
〇据え置き型(設置型・卓上型):
営業所や事務所に設置するタイプで、毎日一定の時間に行き来する企業に最適です。感知センサーの交換が可能で、中・長期的に活用できますが、携帯型に比べ価格が高い傾向があります。
〇計測方法による種類:
・吹きかけ式:
検査機器に直接息を吹きかけて計測するタイプです。
・ストロー式:
ストローを活用し息を吹きかけて計測するタイプで、周囲の影響を受けにくく精度が高いです。
・マウスピース式:
専用のマウスピースを活用し息を吹きかけて計測するタイプで、ストロー式同様、周囲の影響を受けづらく精度が高いです。
〇センサーの種類:
・燃料電池式:
アルコール以外にほぼ反応せず、耐久性が高いですが、初期費用やメンテナンスコストが高くなる傾向があります。
・半導体式:
小型で持ち運びがしやすく、価格も比較的安価です。測定に時間がかからず素早い検査が可能ですが、アルコール以外の強い匂いに反応することがあります。
これらの情報を参考に、ご自身のニーズに合ったアルコールチェッカーを選ぶことができます。安全運転のためにも、正しいアルコールチェッカーの選択が重要です。
まとめ
アルコールチェックは、企業と従業員の両方が責任をもって行う必要があります。
飲酒運転は年々罰則が厳しくなりますが検挙者は後を絶ちません。飲酒運転は、確実に危険運転の原因となる排除すべき行為です。
今回の記事を参考に、正確にアルコールチェックを行いましょう。そして「飲酒運転は絶対にしない!!」と強く心に刻み、日ごろから安全運転を心がけましょう。
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